季語/檀の実

https://ameblo.jp/masanori819/entry-12531578207.html 【2019.10.3一日一季語 檀の実(まゆみのみ)  【秋―植物―晩秋】】 より

一日一季語 檀の実(まゆみのみ)  【秋―植物―晩秋】

戸隠や杉に風鳴りまゆみの実   森岡由江

戸隠神社奥社の杜は、随神門から約500メートルにわたって200本以上のスギの巨樹が続く杉並木がその象徴として広く知られます。400年を超える『奥社参道杉並木』が風に吹かれて音を立てる。

戸隠のそば店「たんぼ」には、真弓の木があるそうです。実景からの句なのかもしれません。

【傍題季語】真弓の実(まゆみのみ)

【季語の説明】

檀はニシキギ科の落葉低木で秋に実がなる。蒴果(さくか)は一センチ弱の四角形で、淡紅色に熟すると四裂して中の赤い種子が現れる。落葉後も長く枝上にあって美しい。

ニシキギ科の落葉小高木。初夏に花をつけ秋に実を結ぶ。熟すと四つに裂け、赤い種子が現れる。昔この木で弓を作ったので、真弓の名がついた。

【例句】

檀の実割れて山脈ひかり出す     福田甲子雄

まなかひに高千穂立てる檀の実    米谷静二

しんじつを籠めてくれなゐ真弓の実  後藤比奈夫

檀の実牧の扉にひかり充ち      宮坂静生

檀の実画家の鉛筆やはらかし     小川軽舟

【真弓の実】

・「檀」とも書く。

・材で、こけしや将棋の駒をつくる。

・マユミの枝には柔軟性があり、よくしなる。弓(丸木弓)の材料になったことから「真弓」と名付けられた。「真」には「最高の」意味があり、高級な弓材であった。弓に使われる木としてはほかにイチイ、ミズメ、ケヤキ、ニワトコ、ヤマナラシなどがある。

・秋(10~11月)になるとサイコロステーキのような四角い薄紅色の実が鈴なりになる。これを目当てに鳥がよく集まるが、種には毒性がある。長い間、枝に残り地域によっては雪とのコラボレーションが見られる。同じ仲間であるニシキギやマサキと同じように熟すと四つに裂け、中からオレンジ色の種(仮皮種)が顔を出す。この様子を繭(まゆ)に喩え、繭実(まゆみ)が命名の由来であるとする説もある。

・春、この若葉を菜飯(なめし)として食べるとおいしいらしい。

・「白檀弓(しらまゆみ)いま春山に行く雲の逝きや別れむ 恋しきものを」  万葉集

 「天の原ふりさけ見れば白真弓張りてかけたり夜道はよけむ」  万葉集

   間人大浦   (はしひとのおほうら)


https://www.haiku-kigo-ichiran.net/mayuminomi/  【季語/檀の実(まゆみのみ)を使った俳句】 より

檀の実を含む俳句例

旅にをり旅の日和の檀の実/森澄雄        檀の実まぶしき母に随へり/岸田稚

霜の朝せん檀の実のこぼれけり/杜国       村人の明るさこそは檀の実/高澤良一

鳥影の縺るるばかり檀の実/福永耕二       檀の実牧の扉にひかり充ち/宮坂静生

戸隠や杉に風鳴りまゆみの実/森岡由江      日の逃げて風のみ急ぐ檀の実/太田蓁樹

日は沼の沖をねむらせ檀の実/佐藤鬼房      檀の実持てば嶺越しの風の音/加藤楸邨

檀の実圧し来る如く天蒼し/望月たかし      檀の実画家の鉛筆やはらかし/小川軽舟

真弓の実華やぐ裏に湖さわぐ/杉山岳陽      こころいま旅に飢ゑをり檀の実/角川春樹

さしばゐて島の阿檀の実の青き/吉田紫乃     しだれつつ夢のくれなゐ檀の実/堀口星眠

まなかひに高千穂立てる檀の実/米谷静二     まゆみの実みじかく笑う笑い損/永末恵子

まゆみの実見よと促す人もなく/高澤良一     昃りてもあたゝかき色真弓の実/斎藤紫暁

檀の実爆ぜて色濃くなりにけり/小泉良子     泣きしあとの眼の鮮しや檀の実/草間時彦

真弓の実持てば嶺越しの風の音/加藤楸邨     近づけば花にはあらず檀の実/石井とし夫

檀の実嫁かずの月日密に濃き/つじ加代子     檀の実割れて山脈ひかり出す/福田甲子雄

まゆみの実真つ白な雨山消して/八木林之助   手のひらに結びほつれの檀の實/八木林之介

温泉の町のたそがれに逢う檀の実/徳部文子   湯あたりの女人臥しをり真弓の実/橋本鶏二

風邪癒えて雨あたゝかし檀の実/望月たかし  父も母も君も無き世のまゆみの実/殿村菟絲子

近づきて花にはあらで真弓の実/五十嵐八重子

しんじつを籠めてくれなゐ真弓の実/後藤比奈夫