「桂」の意味や由来は?

https://ichigoichina.jp/kanji/10/%E6%A1%82  【「桂」の意味や由来は?】 より

風景

「桂」とは「木の名前」を表す漢字です。ただし、この漢字が生まれた中国では「モクセイ科の常緑樹」を、後にこの漢字が伝わった日本では「カツラ科の落葉高木」を指し、それぞれ別の樹木を表しています。

この由来は、ツクリにある「圭」が深く関係しています。「圭」は古代中国で使われていた「先端が尖った形をした装飾品」を表し、これに樹木を意味する「木」を組み合わせて「(葉の)先端が尖った樹木」、すなわち「モクセイ科の種」を表すようになりました。秋の訪れを感じさせる「キンモクセイ」に代表されるように、モクセイ科の樹木は香りが豊かであるため、「桂」は「モクセイ科」に限らず、「香りのある木の総称」としても使われるようになりました。

後に漢字が日本に伝わったタイミングで「香りが出る樹木=香出る(カヅル)樹木」が由来で「カツラ」の読みが生まれ、当時の日本で香りが良い木とされた「カツラ科の樹木」に当てられるようになったといわれています。

「桂」ってどんな木?どんな特徴がある?

「桂」は先ほど述べたように、漢字ができた中国と日本とでは別の樹木を指し、その2つの共通点には「香りが良い」ことです。

モクセイ科の植物であるキンモクセイは別名、桂花(ケイカ)とも呼ばれ、オレンジ(黄色)のかわいらしい花びらをつけます。アロマオイルやハーブティーとしても有名なジャスミンもモクセイ科の植物。

一方、「カツラ科」の植物は街路樹や建築材、家具などに使われる丈夫で貴重な樹木です。

ちなみに、「桂」の字を使った言葉で「月桂樹」を目にしたことがある人もいるかもしれません。「月桂樹」の別名である「ローリエ」と聞くとピンとくるでしょうか。料理によく使われますね。しかしながら、「桂」の字を使ってはいるものの、上記の2つの樹木とはさらに違う「クスノキ科」を表す植物で、これも共通点は「香りの良さ」にあります。

「ケイ」の響きに当てられる「桂」

「桂」は音読みの「ケイ」や、特徴的な「カツラ」、それを縮めた「カツ」などの響きを用いて名付けに使われます。男の子の一文字名前で桂(ケイ)や漢字を組み合わせて桂太(ケイタ)、桂治(ケイジ)、桂樹(カツキ)、桂紀(カツノリ)など、女の子なら桂子(ケイコ)や桂香(ケイカ)、桂美(カツミ)、桂穂(カツホ)と考えられます。

また、最近では「カツラ」をさらに縮めた「カ」の響きに当てた名前も見られるようになり、陽桂(ハルカ)や美桂(ミカ)、千桂子(チカコ)と女の子に使われることがあります。

【「ケイ」の響きをもつ漢字】

「圭」「啓」「恵」「慶」「慧」など

【「カ」の響きをもつ漢字】

「華」「楓」「香」「佳」「花」「夏」など

「桂」にはどんな願いが込められる?

「桂」の樹木の特徴である「香りの良さ」からイメージを膨らませると様々な願いや想いを込められますよ。

シンプルに「周囲の人を引き付ける魅力的な人に成長してほしい」と願いを込められます。また、「香りの良さ」から連想して「高貴で美しい」「清らか」なイメージをもとに「純朴で誠実な人生を」や、香りの効果で「リラックス」「心の落ち着き」のイメージをもとに「場を和ませられる子に」と想いを込めることもできます。

「カツラ科」の植物は、街路樹や建築材などに使われる「丈夫」な樹であることから、「健康で丈夫な体に育ってほしい」「困難にさらされても粘り強く成長できる子に」と表現することもできますよ。

さらに、「月桂樹」には「光栄」「栄誉」「勝利」などの花言葉があるのでここからイメージを膨らませて、想いを込めることもできそうです。

「香り」がつつみこむような「やわらかい」雰囲気と、樹木としての「どっしりとした」イメージを持ち合わせる「桂」。これから生まれる赤ちゃんの成長する姿に思いを馳せて、願いの込もった素敵な名前を贈ってあげてくださいね。


https://blog.goo.ne.jp/fagus06/e/d01870e12ce8ffa1874c2881e1ecce18 【桂と月】より

わが家のシンボルツリーはカツラ。

まだ木に興味のない20年ほど前に出会って、「ヨーロッパの森にあるような木だな」と好感を持ちました。その後、現在の家を建てたとき、迷わず植えたのがカツラです。

私の勝手な思い込みとは裏腹に、日本固有種と知ったのは後になってからです。

そして、中国で「桂」はキンモクセイを意味し、景勝地として知られる桂林にはキンモクセイが茂っているということも知りました。私は行ったことがありませんが、桂林を観光された方はお土産に桂花茶(キンモクセイのお茶)を買われたのではないでしょうか。

また、中国には「月にはキンモクセイの大木があり、その花がいっせいに開花するから、秋の月は金色に輝く」という伝説があるそうです。中国では、月と桂(キンモクセイ)がセットになっているのです。

そう言えば、伏見のお酒に「月の桂」という銘柄があるので、1本買ってきました。

瓶のラベルと蔵元のホームページに書いてあることをまとめると、桂川の水で醸造していたことに因んで、この酒を飲んだあるお公家さんが「月の桂」と命名した、ということのようです。お公家さんは中国の伝説を知っていたのでしょう。     

では、なぜ「桂」という漢字がカツラに当てられたのか? カツラの枯葉はカラメルのような甘い匂いがします。別名「香の木」とも言います。一方、キンモクセイもいい匂いがしますが、中国からの移入種です。

私の独断ですが、漢字が移入された頃、キンモクセイはまだ日本になかったので、「晩秋にいい匂いのする木」という意味の「桂」をカツラに当てたのではないでしょうか。     

わが家のカツラ君は、いま初夏の風を受けて、気持ち良さそうに葉をヒラヒラさせています。枯葉の季節には甘い匂いを漂わせ、外出先から帰宅すると、「あ~、わが家に着いた」と実感します。