https://idea1616.com/kikaku-haiku/ 【宝井其角の俳句 30選 -洒落風-】 より
宝井其角(たからい きかく)は江戸時代の俳人で、松尾芭蕉の門下で俳諧を学びました。
芭蕉の弟子のうちでも、特に優れた 10人は「蕉門十哲(しょうもんじってつ)」と呼ばれますが、その筆頭に挙げられるのが其角です。
其角の詠んだ句は「派手」「奇抜」「難解」といわれることもあり、簡単に解釈できないようなものもあります。しかし、その一方では芭蕉を彷彿とさせる俳句も多く残しています。
このページでは、宝井其角の俳句の中から 30句を選びました。師である芭蕉が「かれは定家の卿(=藤原定家)也」と評した人物の句を、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。
宝井其角の俳句 30
俳句の先頭の文字の五十音順に並べてあります。
なお、当初其角は母方の榎本姓を名乗っていたので、「榎本其角(えのもと きかく)」と呼ばれることもあります。
あさぎりに 一の鳥居や 波の音 【季語・季節】
あさぎり(朝霧) - 秋あれきけと 時雨来る夜の 鐘の声 【季語・季節】時雨(しぐれ) - 冬
いなづまや きのふは東 けふは西 【季語・季節】いなづま(稲妻) - 秋
稲こくや ひよこを握る 藁の中 【季語・季節】稲 - 秋
うぐひすや 遠路ながら 礼かへし 【季語・季節】うぐひす(鶯) - 春
梅の木の枝に止まった鶯
海棠の 花のうつつや 朧月 【季語・季節】海棠(かいどう) - 春、朧月(おぼろづき) - 春
【補足】「海棠」は落葉高木の一種で、花海棠(はなかいどう)や垂絲海棠(すいしかいどう)などとも呼ばれます。
傀儡の 鼓うつなる 花見かな 【季語・季節】花見 - 春
【補足】傀儡(かいらい)は「あやつり人形」のことで、「くぐつ」や「でく」ともいわれます。「鼓」の読みは「つづみ」です。
菓子盆に けし人形や 桃の花 【季語・季節】桃の花 - 春
鐘ひとつ 売れぬ日はなし 江戸の春 【季語・季節】江戸の春 - 春
川上は 柳か梅か 百千鳥 【季語・季節】百千鳥(ももちどり) - 春
寒菊や 古風ののこる 硯箱 【季語・季節】寒菊 - 冬【補足】「硯箱」の読みは「すずりばこ」です。
暮の山 遠きを鹿の すがた哉 【季語・季節】鹿 - 秋
小坊主や 松にかくれて 山ざくら 【季語・季節】山ざくら - 春
重箱に 花なき時の 野菊哉 【季語・季節】野菊 - 秋
雀子や あかり障子の 笹の影 【季語・季節】雀子 - 春 和室の明かり障子
ちり際は 風もたのまず けしの花 【季語・季節】けしの花 - 夏
年神に 樽の口ぬく 小槌かな 【季語・季節】年神 - 新年
【補足】小槌(こづち)とは、小さな「つち(=現代でいうハンマー)」のことです。
なきがらを 笠にかくすや 枯尾花 【季語・季節】枯尾花(かれおばな) - 冬
夏酔や 暁ごとの 柄杓水 【季語・季節】夏の暁 - 夏【補足】「柄杓水」の読みは「ひしゃくみず」です。
人の世や のどかなる日の 寺林 【季語・季節】のどか(長閑) - 春 林の中の寺
ふれみぞれ 柊の花の 七日市 【季語・季節】柊(ひいらぎ)の花 - 冬
鬼灯の たぐひなす身や 竜田姫 【季語・季節】鬼灯(ほおずき) - 秋、竜田姫(たつたひめ) - 秋
豆をうつ 声のうちなる 笑かな 【季語・季節】豆をうつ - 冬
水うてや 蝉も雀も ぬるる程【季語・季節】水うて - 夏、蝉 - 夏
水影や むささびわたる 藤の棚 【季語・季節】藤の棚 - 春 藤の花房
身にからむ 単羽織も うき世哉 【季語・季節】単羽織(ひとえばおり) - 夏
夕すずみ よくぞ男に 生れけり 【季語・季節】夕すずみ - 夏
夕立や 田を三囲りの 神ならば 【季語・季節】夕立 - 夏
夕日影 町半にとぶ 胡蝶哉 【季語・季節】胡蝶 - 春 【補足】「町半」の読みは「まちなか」です。
横雲や はなればなれの 蕎麦畑 【季語・季節】蕎麦畑 (そばばたけ)- 秋
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