柿衞文庫について

http://www.kakimori.jp/profile.php  【柿衞文庫について】  より

京・大阪に近く、酒どころとして経済的にも文化的にも水準の高い町であった江戸時代の伊丹では、俳壇も栄え、文人墨客の往来もさかんでした。そうした中で蓄積された文化遺産に、岡田柿衞翁による新たな系統的収集を加えて成立したのが柿衞文庫です。

「柿衞」という名は、江戸時代に伊丹の美酒にひかれて訪れた文人たちが愛でた「柿」の木を「衞る」というところからつけられたものです。

文政12年(1829年)の10月のことです。漢詩人・学者として有名であった頼山陽が、同じく学者の篠崎小竹、画家の田能村竹田や高橋草坪らと箕面の紅葉狩をかねて伊丹へ来遊しました。当時、伊丹銘酒として知られた「剣菱」の醸造元坂上桐陰家で酒宴が開かれ、その席にみごとな柿−へたの周囲が丸く盛り上がっているので台柿と呼ばれています−が供されたのです。山陽たちはそのあまりな美味に驚くとともに、岡田家の庭にあるだけのたいへん珍しい柿だと聞き、各々の感興を詩文や画に託したのです。以後、岡田家の当主は「柿園」・「柿陰」など柿に由来する雅号を持ちますが、二十二代の岡田利兵衞は「柿衞」と号したのです。

柿衞文庫の庭

柿衞翁は明治25年(1892年)伊丹に生まれ、家業の酒造業を継ぐとともに、伊丹町長、伊丹市長の要職を歴任、伊丹市名誉市民となりました。さらに芭蕉を中心とする俳文学の研究にいそしみ、学術研究の資料として多くの貴重な資料を収集しました。

昭和57年(1982年)6月、90年におよぶ多彩な生涯を閉じた翁の遺志により、そのコレクションは財団法人化され、同59年6月に建物が竣工、11月に開館のはこびとなりました。

文庫の由来となった柿の木は、今はもう見られませんが、接ぎ木をした二世の木が移植され、毎秋、たわわな実をつけています。


http://hccweb6.bai.ne.jp/kakimori_bunko/okada-rihei.html 【創設者 岡田柿衞】 より

岡田翁 岡田柿衞は明治25年(1892) 8月27日、江戸時代から続く伊丹の酒造家、岡田正造の長男として生まれました。幼名は真三、26歳のとき利兵衞(リへえ)を襲名。京都帝国大学文学部国文科卒業。梅花女子専門学校、聖心女子大学、橘女子大学などで教鞭をとるとともに、伊丹町長・市長職を務めました。

 郷土の俳人、鬼貫(おにつら)に端を発する俳諧資料の収集は、俳諧史全般へと拡大。学術研究上必要な資料の蓄積を、現在の(財)柿衞文庫に遺しました。『鬼貫全集』『俳画の美』ほか著書多数。中でも『芭蕉の筆蹟』は芭蕉筆蹟学の礎を築いた名著。

 柿衞は号で、歴代の当主が愛でた岡田家の名木「台柿(だいがき)」を衞(まも)るの意を込めたもの。この柿の実は、文政12年10月、頼山陽が母とともに伊丹を訪れた際、「剣菱」醸造元の坂上桐陰の酒席で、デザートに供され、山陽はあまりのうまさに感激したという逸話が残っています。そのとき、山陽はもう一つと所望しましたが、「岡田家に一本あるだけの柿なのであきらめてほしい」と断られたといいます。

柿衞が岡田家伝来品に加え、独自の俳諧資料収集を思い立ったのは昭和12年、鬼貫の短冊との出合いがきっかけでした。その後終戦前後の10年間は積極的に資料を集め、当時の様子を「俳人遺墨入手控」や「俳諧真蹟入庫品番付」に記録しています。番付は相撲好きの柿衞が、前年度手に入れた俳諧関係の真筆資料を相撲の番付に模して作成したもので、たとえば昭和23年度の東の横綱として「西鶴自画賛十ニケ月」、西の大関として「鬼貫筆にょっぽりと秋の空なる富士の山の一行物」をあげています。

柿衞は多趣味で知られ、洋鳥の飼育、写真撮影、高山植物の育成などにも熱中。洋鳥においては、山階芳麿(やましなよしまろ)ら9人で「鳥の会」を結成したり、千坪近い庭に禽舎『胡錦園(こきんえん)」を設けて飼育するほどでした。

 昭和57年(1982)6月5日、伊丹で没。89歳でした。柿衞は没するまで、現在の柿衞文庫、伊丹市立美術館、工芸センターの敷地内で暮らし、その家の一部は平成4年1月、「旧岡田家住宅」(店舗・酒蔵)として国の指定文化財となり、阪神・淡路大震災で大きな被害を受けたため、解体修理されています。山陽の愛した台柿(二世)は、柿衞文庫館の庭園で毎秋、独特の実をたくさんつけています。


https://ameblo.jp/sakadachikaba/entry-12597999108.html 【今日は伊丹一句の日】より

毎月19日は「伊丹一句の日」です。

兵庫県伊丹市の柿衛(かきもり)文庫は、この土地生まれの上島鬼貫などの俳諧資料を収蔵、展観しています。近年は子規や碧梧桐、松瀬青々などの近代俳句の資料も豊富になりました。柿衞文庫では毎月の19日を「伊丹一句の日」と決め、気楽に575を楽しもう、と呼びかけています。言葉の文化が市民の暮らしの中に広がる、そのきっかけに「伊丹一句の日」がなればすてきです。

というわけで、今日は「伊丹一句の日」です。伊丹市民に限らず、全国の方々にこの行事への参加を呼びかけます。今月はコロナの関係で、インターネットによる投句に限定です。柿衞文庫のホームぺージから「インターネット投句」してください。今日19日から3日間が今月の投句期間です。期間中、24時間受け付けています。なお、優秀句には伊丹の名産品などの賞品があります。(柿衛文庫理事長・坪内稔典)

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